みんな思考停止に陥っている「真の結婚適齢期」は一体何歳?
「結婚適齢期」とは結婚するベストタイミング
結婚適齢期とは一体何歳のことを指すのだろうか。一般に、結婚適齢期とは、「結婚するベストタイミング」のこと。従って、将来結婚することを考えている若い独身男女のみなさんであれば、多少なりとも気になることだろう。そして、もしかしたら、足元で発表される平均初婚年齢などの統計を目安に、たとえば30歳前後くらいを結婚適齢期として漠然と認識しているかもしれない。今回は、そんな結婚適齢期について考えてみたい。
百害あって一利なしの「結婚適齢期」という概念
初っ端から身も蓋もない意見だが、筆者は、結婚適齢期という概念は実に罪深い概念だと考えている。簡単に言ってしまえば、結婚適齢期という人為的に作られた単一の価値観が刷り込まれることで、若い独身男女のみなさんを思考停止の状態に陥れ、結婚という重大な意思決定の判断を大いに誤らせる可能性があると考えている。
典型は、結婚適齢期が刷り込まれることで、若い独身男女のみなさんに油断や怠慢が生じることだ。自分にとって結婚適齢期はまだまだ先だということで、目の前の貴重な出会いをぞんざいに扱いかねない。たとえ今が余裕しゃくしゃくであったとしても、結婚適齢期に必ず良い相手にめぐり合えるとは限らない。ちょっと考えれば判ることだが、運命の人に出会うタイミングと結婚適齢期とは全くの無関係だ。結局、当初の想定通りにはいかず、自身が考えていたよりも3年も5年も、場合によっては10年も婚期が遅れ、かつ、相当の妥協を強いられて結婚する羽目になる。
早婚を希望する若い独身男女のみなさんの足を引っ張る点も問題だ。たとえば、子供は絶対に3人以上は欲しいと考えている若い独身男女のみなさんは、20代前半で結婚するなど、可能な限り若くして結婚するに越したことはない。しかし、たとえば結婚適齢期が30歳などと刷り込まれてしまうと、20歳で結婚しようとしている自分が何か大きな損をし、間違いを犯しているかのような錯覚に陥ってしまう。若い独身男女のみなさんが学生結婚でも考えようなものなら、結婚適齢期という固定概念に毒された親御さんまでもが「結婚はまだ早いのではないか」とアンチに回る始末。
なお、若い独身男女のみなさんに誤ったメッセージを送りかねないという意味においては、巷のメディアで報道される、「晩婚化が進んでいる」、「生涯未婚率が上昇している」、「少子高齢化が進んでいる」などといった情報も同罪だ。婚活や結婚を先送りしても何の問題もない、結婚すること自体を諦めても何の問題もないといった無責任な風潮を生みかねない。
「結婚適齢期」は自分の頭で考える
そもそも、個々人の結婚のタイミングを結婚適齢期などという画一的な概念で規定できるはずもない。結婚するタイミングは、その人の肉体的、精神的、経済的な成熟度、結婚の切実度(絶対に結婚したい、良い人がいれば結婚したい等)、結婚観(子供の有無と人数、家族の在り方、老後の過ごし方等)、社会的風潮等を総合的に加味して決定されるものであって、それこそ千差万別であろう。筆者の個人的な見立てでは、たとえば、肉体面は20代前半、精神面は20代後半、経済面は30代前半に一旦はピークをつけると解するが、これさえももちろん個人差があり、これらの構成要素が全体最適となるタイミングなどとても十把一絡には語れない。
考えてみれば、結婚適齢期とは誰にとっての適齢なのかも判然としない。あなたにとっての適齢か、結婚相手にとっての適齢か、はたまた、あなたの親御さんや会社や国にとっての適齢か。仮に、あなたにとっての適齢だとしても、それが、あなたが理想とする結婚相手が望む年齢とは限らない。結婚相手にとっての適齢だとしても、それが、あなたが望む年齢とは限らない。
従って、若い独身男女のみなさんは、世間一般に流布している結婚適齢期などというマジックワードを絶対に鵜呑みにしてはいけない。平均初婚年齢などの情報も、結婚した人の年齢の平均値を計算したらたまたまその年齢になったというだけの話であって、それがあなたにとってのベストな結婚年齢であるはずもない。結婚年齢は、つまるところ自分はどうしたいかで考えるべきであって、他人との比較など全く以ってどうでもいいことなのだ。いずれにしても、将来結婚することを考えている若い独身男女のみなさんは、結婚適齢期なるマジックワードに惑わされることなく、真の結婚適齢期を自身の頭で考え、自己責任のもと行動していく必要がある。
「真の結婚適齢期」の思考法
では、自身の真の結婚適齢期は具体的にどのように考えたら良いのだろうか。筆者は、色々な切り口はあれど、先ずはシンプルに「子供」を軸に考えるのが良いと考える。恐らく、大部分の独身男女のみなさんは、子供を設けて一定の法体系の元で養育していこうという意思があるからこそ、結婚という手段を選択するのではないだろうか。もし、子供を設ける意思が一切無く、愛情表現や異性との性的関係が唯一の目的なのであれば、そもそも結婚(婚姻)などという仰々しい制度に縛られる必要などどこにも無い。従って、具体的には、子供に関連する以下の5つの問いについて自問自答することで、あなたの真の結婚適齢期を探るのがお勧めだ。
一つ目、「子供は何人授かりたいか」。沢山の子供を望むのであれば必然的に早婚となる。反対に、子供は一人でよいと考えるのであれば、さほど結婚を急ぐ必要はないかもしれない。
二つ目、「どのタイミングで30年間子供と向き合いたいか」。あなたの子供が生まれ、学生を経て就職し、結婚してあなたの元を巣立っていくまでの期間を仮に30年間とすると、あなたは、自分が歩む人生のどのタイミングにこの30年間を組み込みたいと考えるだろうか。あなたが20歳~50歳のタイミングに組み込むか。あるいは、25歳~55歳、30歳~60歳、35歳~65歳、40歳~70歳、45歳~75歳、50歳~80歳のタイミングに組み込むか。たとえば、あなたが若いタイミングで子供と向き合う30年間を組み込めば、子供と一緒に走り回ったり、一緒にプールで泳いだりすることも可能だろう。同様に、あなたが年齢を重ねたタイミングで子供と向き合う30年間を組み込んだ場合に、どのようなメリットやデメリットが生じるのかを考えてみるとよい。
三つ目、「どのタイミングで30年間自分の時間を確保したいか」。極めて単純化すれば、子供と向き合う30年間と、自分の時間の30年間は、コインの裏表のような関係にある。20歳~50歳を子供と向き合う時間に充てた場合は、自動的に50歳~80歳が自分の時間になる。反対に、20歳~50歳を自分の時間に充てた場合は、自動的に50歳~80歳が子供と向き合う時間になる。完全に単独で自分の時間を確保するのが良いか、それとも、伴侶や子供が側に居つつも自分の時間を確保するのが良いか。経験値の低い段階で自分の時間を確保するのが良いか、それとも、経験豊富な状態で自分の時間を確保するのが良いか。経済力が乏しい段階で自分の時間を確保するのが良いか、それとも、経済力が盤石な状態で自分の時間を確保するのが良いか。気力体力が充実した状態で自分の時間を確保するのが良いか、それとも、気力体力が下降しつつある中で自分の時間を確保するのが良いか。
四つ目、「どのような家族構成を想定するか」。大家族を志向し、あなたの祖父母や父母とあなたの子供とのふれ合いの時間を沢山取りたいのであれば必然的に早婚となる。反対に、核家族でも構わないというのであれば、さほど結婚を急ぐ必要はないかもしれない。
五つ目、「どのくらい子孫に会いたいか」。あなたの子供のみならず、孫やひ孫や玄孫にも会いたいとなれば必然的に早婚となる。反対に、子供にさえ恵まれればそれで十分と考えるのであれば、さほど結婚を急ぐ必要はないかもしれない。
真の結婚適齢期が20歳(早婚)の人は自信をもって前進
上記の5つについて自問自答した結果、自身の真の結婚適齢期がたとえば20歳と判断したあなたは、周囲のノイズに惑わされることなく、目標達成に向けて自信をもって前進して欲しい。もしかしたらあなたは、結婚して子供を授かるためには肉体的、精神的、経済的な成熟が必要であり今の自分には時期尚早かもしれない、と不安になるかもしれない。しかし、筆者は、以下の理由から、18歳から遅くも22歳という年齢においてそれらは十分に備わっていると考えている。
あなたは、一般的な独身男女のみなさんの真の結婚適齢期が実は18歳だと聞いたら、面食らうだろうか。しかし、これは何も筆者が奇をてらって言っているのではない。日本では、民法によって婚姻適齢(結婚することのできる年齢)は18歳以上と定められている。つまり、日本では、10歳や15歳の男女が結婚するというのはいささか時期尚早であるが、18歳ともなれば十分に結婚する資格があり、十分に結婚に適していると看做されているのだ。恐らく、18歳という年齢は、通常の精神的肉体的な性的欲求が十分に備わるタイミングということになるのだろう。そもそも人間は動物であるという極めてシンプルな視点に立脚すれば、通常の精神的肉体的な性的欲求が備わるタイミングで家族を持ち得ることについては何らの違和感もない。性的欲求が芽生えれば、男性(女性)は女性(男性)とずっと一緒に居たいと思うし、避妊等の人工的な制限を加えなければ、本来的には、二人は自然発生的に子供を授かり、いわゆる結婚行為と事実上何ら変わらない家族の状態がそこに出現しているはずだ。
あなたは、一般的な独身男女のみなさんの真の結婚適齢期が実は22歳だと聞いたらやはり面食らうだろうか。近年の「晩婚化進展」、「生涯未婚率上昇」、などといった情報に完全に洗脳されてしまったあなたにとっては、22歳であっても時期尚早と感じることだろう。しかし、多くの男女にとって、22歳という年齢は、親から完全に独立し、衣食住の全てを自己完結できる年齢として十分過ぎる年齢だ。ご推察の通り、22歳という年齢は大学を卒業し就職するタイミングにあたる。現代は大学全入時代を迎えており、もしかしたら22歳迄は勉強中心の生活であり、生きていくための収入を得ることが難しいかもしれない。しかし、22歳ともなれば晴れて社会人となり、生きていくための収入を得ることができるようになる。恐らく、22歳という年齢は、現代の社会システムとの調和の中で、社会の構成員として経済的にも精神的にも完全に自立し得るタイミングということになるのだろう。そもそも人間は経済活動を通じて生存に必要な各種要素を獲得するという極めてシンプルな視点に立脚すれば、労働力をお金に換金できるようになるタイミングで家族を持ち得ることについては何らの違和感もない。労働力をお金に換金できさえすれば、男性(女性)は女性(男性)との家庭生活を堂々と送れるし、二人が自然発生的に子供を授かったとしても、子供の育児教育を行っていくことは十分に可能だ。
真の結婚適齢期が40歳(晩婚)の人はリスクを理解
上記の5つについて自問自答した結果、自身の真の結婚適齢がたとえば40歳と判断したあなたは、そのシナリオを選択することで引き受けるリスクについて予め理解しておく必要があるだろう。ここで言うリスクとは、もちろん、あなたが相手から選ばれないかもしれない、即ち、最悪、結婚できないかもしれないというリスクだ。
もしかしたらあなたは、婚活市場における自身の商品価値は、肉体的価値と精神的価値と経済的価値の総和で求められるのだから、仮に肉体的価値が少々毀損しようとも精神的価値と経済的価値を向上させて総和の最大化を目指せばそれでよいと考えているかもしれない。しかし、婚活市場の実態はあなたが考えるそれとは少し違う。肉体的価値の毀損がある一定のラインを越えると、たとえ精神的価値や経済的価値が高く総和が最大化されていようとも婚活市場ではなかなか相手から選んでもらえないのだ。多様化が進んだかに見える現代においても、結婚を希望する独身男女の最大の関心事はやはり「種を保存するという動物に課せられた根源的な欲求」なのだ。
加えて、あなたは、我々人間というものは自身の肉体的価値の毀損に鈍感である一方、精神的価値や経済的価値の向上については根拠のない自信を持っているものだ、という点についても認識しておいたほうが良いだろう。自身が肉体的価値の毀損を体感したタイミングは、既に肉体的価値が相当程度毀損されたタイミングであり、更に、その後の肉体的価値の毀損はあなたが想定する以上の早いスピードで加速度的に進展する。頼みの綱である精神的価値は外形的には解りづらく、思ったほどには評価されない。経済的価値も外部環境の影響を受けやすく、博打的と言えるほど当てにはならない。こんなはずではなかったと絶望し、焦っても、時計の針は戻せないのだ。
確かに、早婚志向は、精神面と経済面のリスクを取ったものではあるが、肉体面のリスクを取らないことから、トータルリスクは低いと言える。一方、晩婚志向は、肝心要の肉体面のリスクを取ったものであり、精神面と経済面の不確実性も高く、あなたが想像する以上に非常に大きなトータルリスクを取ったものとなる。晩婚を選択する場合は、結婚は、あなたが相手を選ぶと同時に相手があなたを選ぶことによって成立する行為だということを強く肝に銘じつつ、緊張感をもって年齢を重ねる必要がある。
偽りの結婚適齢期に翻弄されない
御託を並べず、種を保存するという動物に課せられた根源的な欲求に忠実に従えば、子供を授かる能力(18歳)と子供を育てる能力(22歳)が備わりさえすれば、人は躊躇なく、満を持して当然に結婚していくものだろう。しかし、現代においては、この根源的欲求を覆い隠さんばかりの数多くの煌びやかな代替案が提示されることで、リスク知らずの最強の結婚適齢期(18歳~22歳)がいとも簡単に放棄され、人為的につくられた偽りの結婚適齢期が幅を利かしている。そして、我々は無意識のうちにまるで当たり前のようにこの偽りの結婚適齢期を受け入れ、実はこの偽りの結婚適齢期さえも目まぐるしく変化しているということにさえ気づかない。有史以前は結婚適齢期なる概念などは存在しなかったであろうし、古代・中世・近世などではかなり早いタイミングに結婚適齢期が置かれていたような例もある(幼子同士の政略結婚、許嫁、養子縁組等)。近年では、たとえば、1969年までフジテレビの女子社員などは25歳定年制が適用され、20代前半で結婚し寿退社することがまるで当然かのような風潮もあった。そして、現代に至っては、結婚適齢期は徐々に後退し、平成・令和年間だけをみても男女の平均初婚年齢は3歳程度も晩婚化した。このように、偽りの結婚適齢期は、あなたの心身の状態とは無関係に人為的に決定され、かつ、その変化も激しい。確かに我々人間の心身に備わる各種スペックも、時代の流れに応じて多少なりとも変化したのかもしれない。それでも、現代は、最強の結婚適齢期(18歳~22歳)と偽りの結婚適齢期(30歳程度)との間のスプレッドが非常に大きい時代であるという点について、議論の余地はない。恐らく、両者のスプレッドは有史以来最大のスプレッドであろう。果たしてあなたは、このような状況をどう解釈するだろうか。
人間はその理性によって性的欲求と法形式上の結婚行為を都合よく分離する。我々の心身が動物的感性に従って18歳にして既に結婚の状態を求めていたとしても、我々の理性がそれに気づかぬふりをして結婚を偽りの結婚適齢期まで先送りする。そして、その結果、我々は要らぬリスクを背負込むことになる。もしかしたら、あなたは、既にあなたの真の結婚適齢期を無意識のうちに消化してしまっているかもしれない。後悔先に立たず。筆者は、若い独身男女のみなさんの婚活が成功することを心より願っている。
以上
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